サッカー観戦ツアーの資料請求はこちら

セルジオ越後のぶった斬り

セルジオ越後

PROFILE

1945年7月28日、ブラジル・サンパウロ市生まれ。日系二世。
18歳でサンパウロの名門クラブ・コリンチャンスとプロ契約し、右ウイングとしてプレー。1972年に来日し、日本サッカーリーグ(JSL)初の元プロ選手として藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍。
2006年に文部科学省生涯スポーツ功労者、2013年に外務大臣表彰受賞。
現在はサッカー評論家・指導者。日本アンプティサッカー協会スーパーバイザー。株式会社栃木ユナイテッド代表取締役。

【vol.17】W杯のことを真剣に考えているのか?(2014.4.24)

日本サッカー協会がW杯の事前合宿に高校生2人を帯同させると発表したけど、トレーニングパートナーとして連れていくのは高校生であってはいけないでしょ。W杯をなめてるんじゃないのって思ってしまう。4年前の南アフリカ大会のときも香川真司や酒井高徳など4人のサポートメンバーがいたけど、香川も酒井もJリーグでプレーしていたし、高校生ではなかった。2020年の東京五輪のことを考えてという目的であったとしても、2人だけでは五輪に勝つことはできない。6年後に2人がどうなっているかは誰にも読むことができないし、選ばれた高校生が犠牲になってしまうんじゃないかって心配だよ。
これを決めた日本サッカー協会の人は、2020年の責任者ではないからそういう決定をしたんじゃないかとまで思ってしまうよ。世界中がやっていないことを、どうして日本がやる必要があるの。スポンサー絡みで決まったことであればまだ理解できるけど、W杯は学校単位の行事ではないんだから、せめて結果を出している選手を連れていってほしいものだ。世界の舞台で戦う日本代表をサポートするのであれば、ちゃんとしたメンバーを連れていくべきなことは言うまでもない。W杯のことを真剣に考えているのかって本当に疑ってしまうよ。

W杯には、みんなそれぞれに思い入れがあるんだ。僕にとっていちばん思い出深い大会は、ペレがW杯でデビューし、ブラジルが初優勝した1958年の大会だ。13歳のときで、この大会によってサッカーに対する夢を持つようになったんだ。
ペレやガリンシャは憧れの選手で、彼らのプレーをよく真似したよ。僕だけでなく、FWをやっていたブラジルの子供たちみんなが憧れていた。ブラジルは国内の選手がナンバーワンで、海外の選手を一番だとは思っていないんだ。ペレやガリンシャは、日本でいえば野球の王さんや長島さんみたいな存在で、スーパースターがいれば子供たちは夢を持つことができるし、スーパースターのプレーに刺激を受けながら上手くなっていくことができるんだ。
日本の子供たちは、アルゼンチンのメッシやポルトガルのロナウドに憧れているでしょ。それは日本にスーパースターがいない証拠。日本にも早く本当の意味でのスーパースターが出てくることを期待したいね。

日本でサッカーに関わる仕事をするようになって、初めて日本がW杯に出場した1998年のフランス大会も僕には特に記憶に残っている。ジョホールバルの歓喜はいまだに忘れることができない。
そしてもうひとつが、2002年の日韓共催大会だね。日本がW杯の本当の素晴らしさ、すごさに目覚めるためには、日本の日々の生活のなかでW杯を体感することが必要だと思っていたから、W杯をホームとして開催できたことには大きな意味があった。子供たちだけでなく、大人もユニフォームを着て街を歩くという光景は、それまでの日本にはなかったことでしょ。Jリーグが誕生してすぐに2002年のW杯フィーバーがあったということは、日本のサッカー文化にとって重要な意味があったと思うよ。

2002年のW杯だけでなく、日本は国内のイベントには敏感なんだよね。僕はそれを昔から「地元国体文化」と言っているけどね(笑)。2016年のリオデジャネイロ五輪はそっちのけで、2020年の東京五輪ばかりで盛り上がっているでしょ。地元の大会は経済的な効果もあるし、イベントそのものの価値観が海外で行われる大会とは違うから、強化予算やPR予算も多い。日本は地元の大会を増やせば、もっと強くなるんじゃないかな?
これは政治家がスポーツに興味を持っていないことにも影響を受けている。内閣総理大臣もメダルを取った人には会うけど、メダルを取らなかった人には会わないでしょ。アメリカの大統領は、大会に行く前にも全選手に会って、大会が終わった後にも全選手に会う。それは大統領の有権者が全国民だから。日本の場合は違って、いまの内閣総理大臣は山口県の大統領なんだよね。W杯に出る選手より、甲子園に出る地元の高校のほうに興味があるんじゃないかな(笑)。これは国の文化の違いでしょ。
だけどスポーツの世界で考えれば、リオデジャネイロ大会にも力を入れなければいけない。世界では、地元の大会も、海外で行われる大会も、強化するために同じように予算を取っているんだから、忘れちゃいけないよ。


【記事一覧】
[NEW]【vol.22】今回のW杯は日本にとって素晴らしい結果になった(2014.7.1)
【vol.21】まだまだ日本は世界と戦っていけるだけの力はない(2014.6.26)
【vol.20】サプライズは香川と柿谷の代表選出(2014.5.24)
【vol.19】ブラジルはなぜサッカーが強いのか(2014.5.8)
【vol.18】日本がAFCチャンピオンズ・リーグに勝てない理由(2014.5.1)
【vol.16】わかりにくい日本代表候補キャンプの目的(2014.4.17)
【vol.15】本当の意味でのサッカー人口は41年前から増えていない(2014.4.10)
【vol.14】日本代表選手でいちばん輝いている選手は・・・(2014.4.3)
【vol.13】なぜチームフラッグまで禁止になったのか?(2014.3.31)
【vol.12】なんでW杯最終メンバーの議論がないの?(2014.3.20)
【vol.11】ニュージーランド戦はコンサート会場だった?(2014.3.11)
【vol.10】ブラジルではまだリオのカーニバルが話題の中心(2014.2.27)
【vol.9】プロリーグをやるための世界的キャスティングが必要だ(2014.2.20)
【vol.8】J3は本当に五輪代表を強化する場なのか?(2014.2.13)
【vol.7】日本のサッカー界を不思議と思わなくちゃいけない(2014.2.6)
【vol.6】Jリーグにもアベノミクスが波及してほしい(2014.1.30)
【vol.5】本田はまだミランのナンバーワンではない(2014.1.23)
【vol.4】海外に行くことが経験というのはプロではない(2014.1.20)
【vol.3】ブラジルに観戦に行く人はしっかりとした準備を(2014.1.8)
【vol.2】日本のスポーツは独特の文化(2013.12.26)
【vol.1】日本はチャレンジャーって立場を忘れてはならない(2013.12.19)

HISスポーツTOP

お問い合わせ・ご予約

東京スポーツイベントセクション

tel

<営業時間> 月~土 11:00~17:00
  日曜・祝日 休み

〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-33-8
サウスゲート新宿ビル1F
[ 総合旅行業務取扱管理者 稲葉 敬昭 ]

大阪スポーツイベントセクション

tel

<営業時間> 月~土 11:00~17:00
  日曜・祝日 休み

〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町1-1
LINKS UMEDA7階
[ 総合旅行業務取扱管理者 上村 諒 ]

▲上へ戻る

PAGE TOP トップへ