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    桑田真澄の球道即人道

    PROFILE

    1968年4月1日 大阪府出身
    PL学園高時代 5大会連続甲子園出場 優勝2回 準優勝2回 ベスト4 1回
    甲子園通算20勝(3敗)、6本塁打
    1986年東京読売巨人軍入団
    通算173勝141敗14セーブ
    沢村賞。MVP、最優秀防御率他、数々のタイトルを獲得
    2007年ピッツバーグ・パイレーツ入団
    2008年現役引退
    現在は講演活動や野球教室で全国に足を運びながらアマチュア野球の 現状を分析。野球界への恩返しを目的としNPO法人アミーチ・デル・ クオーレを通じ、精力的に活動。 また東京大学大学院の研究生でもある。



    【vol.7】『常識を疑え!』(2015.3.26)

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    今日は二冊の本を紹介します。

      一冊目は、父と子に贈る9つの新・提言!『桑田真澄の常識を疑え!』(主婦の友社)という野球教本。そしてもう一冊が、学童野球を舞台にお父さんコーチと子どもたちが野球の常識に立ち向かう物語を描いた野球マンガ、『ダウト』(集英社)。
     どちらもここ最近、僕が指導者講習会で話してきたことを書籍化したもので、お父さんコーチにも、野球を始めたばかりの小学生にも手に取ってもらえるよう、教本とマンガの二本立てという形を取っている。    
     なぜ、僕はこういう本を世に出そうと思ったのか。それは、大学院で研究していた時、野球に興味がある人の50パーセント以上が50歳以上で、10~20代の多くは野球に興味がないという調査結果を目にしたからなんだ。この状況がこれから10年、20年と続いたら、その人たちが結婚して子どもが生まれたとき、まったく興味のなかった野球を子どもに見せたり、やらせようと思うはずがないよね。だったら、今のうちに何かをしなきゃいけないと思った……それが二冊の本を世に送り出した一番の理由だよ。

     ある小学校へ訪問したとき、クラスで「野球が好きな人」と聞いたら、30人ちょっと いる中で、たったの二人しか手が挙がらなかった。僕の感覚だと男子が半分、女子にも野球好きな子がいて、20人近くは手を挙げてくれると思っていたから、 あれはショックだったね。少子化という現実を考えれば、これから野球に興味があるという子どもは確実に減ってくる。それに加えて、地上波のプロ野球中継が減ってプロ野球を観る機会も減る、公園や広場で野球が禁止されていて子どもたちがキャッチボールで遊ぶ機会も減る。その昔、日本の子どもたちは当たり前のように野球に接していたのに、これからは減る一方なんだよ。    
     ところが、野球界の人たちはあまり危機感を持っていない。高校野球の部員数は過去最多、プロ野球の観客動員も少し回復してきた。選手にとっては年俸も増加傾向だからね。でも、僕は統計を取ってデータを見た瞬間、鳥肌が立った。このままでは20年後、30年後の野球界は危ないと、本当に不安になったよ。
     それでは、一体いまの僕に何ができるのか。
     ヒントは、クラスの二人しか手を挙げてくれなかった小学校にあった。彼らにさらに質問をした。なぜ野球をやろうと思わないのかと……そうしたら、みんながこう言う。

     怒鳴られるから。
     殴られるから。
     練習時間が長いから。

     僕らが子どもの頃は、それでも野球をやる以外、なかった。でも選択肢が多様になっている今は、サッカーでもプロになれるし、オリンピックを目指して陸上や水泳、体操をやろうという子も増えてくる。羽生結弦選手の活躍や錦織圭選手の活躍でフィギュアスケートやテニスに憧れる子どもも増えただろうね。そんな中、朝から晩まで怒鳴られながら練習する野球をやろうという子どもがどれくらいいるのか、推して知るべしなんだよ。
     だから、 野球界は変わっていかなくちゃいけない。そのために、できること……その一つが指導者の意識を変えることだと思ったんだ。野球をやるきっかけは、小学校が ほとんどでしょ。そこでいい指導者に出会えるかどうかは、すごく大事なことだと思う。もしそこで野球が嫌いになってしまったら、どんなに素質があっても他のスポーツに移ってしまうだろうし、ファンとして野球を観ようとは思わないだろう。つまり、将来野球界を支える人材をみすみす失うことになるんだよ。

     僕はこの本を通じて、同じ理念を持つ指導者を一人でも増やしたいんだ。これまでの指導者講習会でも、彼らの変化は確実に感じてきた。でも、最後の最後、大会で勝ち進んで目の前の試合と選手の将来のどちらを優先させるのか問われた時、まだまだ変わりきれないんだよね。試合に勝たなきゃいけないと勝利至上主義に陥り、人材育成主義を貫けない。こんな話をすると「桑田は甘い」なんて言われちゃうんだけど、実は僕、指導者のみなさんにものすごく高いハードルを設定しているんだよ。怒鳴って殴るほうが簡単。長時間練習をさせて目先の試合で勝たせるのは簡単。そうじゃない、理論で納得させる、短くても効率的な練習をする、野球だけでなくて勉強も遊びも頑張る選手を育てる。そういう難しいことを指導者の方々に要求しているんだ。
     指導者、お父さんコーチの方々には、ぜひこの本を読んでもらって、指導者としての自分を見つめ直してほしいと願っているよ。

     次回は、マンガのほうの話をするね。

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    構成/石田雄太
    プロデュース/市川光治(光スタジオ)
    写真/梅田雄一(studio dp)





    【記事一覧】
    [NEW]【vol.8】ダウト(2015.4.8)
    【vol.6】理不尽のカタチ・現代版(2015.2.27)
    【vol.5】子育て(2015.1.21)
    【vol.4】グアム(2015.1.6)
    【vol.3】ワイン(2014.12.17)
    【vol.2】決断(2014.12.4)
    【vol.1】日米野球の思い出(2014.11.20)



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