その他競技検索

その他競技観戦ツアーの資料請求はこちら

その他競技検索
フリーワード検索

その他競技観戦ツアーの資料請求はこちら

  • SPORTS EVENT SECTION TOP
  • その他競技TOP
  • 桑田真澄の​球道即人道

    桑田真澄の​球道即人道

    PROFILE

    1968年4月1日 大阪府出身
    PL学園高時代 5大会連続甲子園出場 優勝2回 準優勝2回 ベスト4 1回
    甲子園通算20勝(3敗)、6本塁打
    1986年東京読売巨人軍入団
    通算173勝141敗14セーブ
    沢村賞。MVP、最優秀防御率他、数々のタイトルを獲得
    2007年ピッツバーグ・パイレーツ入団
    2008年現役引退
    現在は講演活動や野球教室で全国に足を運びながらアマチュア野球の 現状を分析。野球界への恩返しを目的としNPO法人アミーチ・デル・ クオーレを通じ、精力的に活動。 また東京大学大学院の研究生でもある。



    【vol.2】『決断』(2014.12.4)

    写真



     寒くなってきたね。

     秋から冬の季節にかけて、プロ野球の世界ではドラフト、FA、戦力外通告のニュースが相次いだね。野球選手にとっては、いろんな意味で人生の岐路に立たされる季節。これからの人生を考えなければならない局面を迎えている選手には、悔いのない選択をしてほしい。
       
     僕もドラフトで巨人に指名されて、FA権を取得して巨人に残り、その巨人から戦力外通告を受けた。そしてメジャーへ挑戦して、アメリカで引退を決意した。いろんなことがあったけど、その度に最高の選択をしてきたと思っているんだ。
       
     僕は、今までの人生に何も悔いがない。あそこからやり直したいと思うことが一つもないんだ。なぜなら、つらかったことも苦しかったことも、今の僕にとっては「あれは必要だった」と思えることばかりだからね。    

     世の中には、マイナスにしか受け取れない出来事もある。でもね、+(プラス)という記号には、-(マイナス)が含まれているでしょ。-(マイナス)に「1」を書き加えると、+(プラス)になる。マイナスだと思う出来事から、一歩前へ踏み出すことによって、マイナスをプラスに変えられる。自分の努力次第で、マイナスをどんどんプラスに変化させられるんだ。

     思い出すのは、今から8年前のちょうど今頃のことかな。2006年のオフ、巨人から戦力外通告を受けて、メジャーに挑戦しようと決めた。そんな僕にオファーをくれたのは、メジャーの3つの球団だった。

     チームカラーが青のロサンゼルス・ドジャース、赤のボストン・レッドソックス、黄色のピッツバーグ・パイレーツ。
          
     どこに行くべきか、迷ったよ。真っ青な空がいいのかなと思うときもあったし、ほとばしるような赤い血も魅力的だったし、鮮やかな黄色い花にも惹かれた。

     僕は、目に見えないものを大事にしたいと思っていたけれども、金額を見たら赤のオファーが抜きん出ていた。人とのつながりを考えたら青だった。ドジャースのチームドクターは僕の右ヒジの手術をしてくれたフランク・ジョーブ博士だったし、巨人を退団することになって、真っ先に僕に声をかけてくれたのもドジャースだったからだ。そうやって考えると、普通はまず黄色を外すよね。でも、自分の心に問いかけると、何度訊いても黄色が浮かんできたんだ。

     黄色?

     本当にそれでいいの?

     そうやって問いかけるたびに、答えは決まって黄色だった。

     あの時、黄色のパイレーツは、ナ・リーグ中地区で13年連続で勝率5割を切っている弱小球団だった。しかも、日本人選手には縁のない球団だし、ロサンゼルスやボストンと比べたらピッツバーグという町には日本人も少ない。でも、だからこそ僕が行く価値があるんじゃないかと思った。海賊って僕のイメージではないと思っていたけど、パイレーツに行く自分をイメージすると、なんだか無性にやる気が漲ってきたんだよね。

     なぜなんだろう。

     理由はいろいろあったと思う。僕はメジャーで投げるために行くんだから、投げる機会があることがまずは大事だった。レッドソックスやドジャースにはいいピッチャーがたくさんいたから、パイレーツの方がチャンスがあるとも思った。

     代理人を立てずに交渉したことも大きかった。GMやコーチ、球団の人と電話やメールでやりとりしていて、些細な言葉の中に気持ちが通じ合う場面があったんだ。

     もちろん自分で交渉するのは大変だったよ。メジャーで野球だけをやりに行くだけなら、必要のない苦労だったと思う。でも僕は将来、日本の野球界に貢献するために、アメリカの野球のいろんな面を知りたかった。だから、契約書で使われる言葉や交渉で気を遣うべき場面を肌で感じることができたのは収穫だったと思う。

     そうした交渉を経て最後に送られてきた契約書には、合意したはずの金額よりも上の数字が書き込まれていた。ビックリしたなぁ。なぜなのかと訊いたら、GMが「代理人も立てずに直接、交渉しようというその心意気に感動したんだ」と言ってくれたんだ。ビジネスライクなアメリカでも、気持ちを大事にしてくれることがあるんだと思ったら、大変な思いをしてよかったと思えたよ。

     少し話が長くなってしまったけど、最初はマイナスにしか見えないことでも、こうやって自分で一歩前へ踏み出せば、物事をプラスに変えられるんだ。そのためにも、まずは事前に可能な限り状況を整理するとよいと思う。メジャーに行ったらどんなリスクがあって、どんなリターンがあって、将来自分はどうなりたいのか……すべてを考えること。食材を目の前に並べて、その食材を知り尽くした上で、どういう料理を作ろうか、感じ取る。すべてを考えたうえで、最後に感じ取ろうとすることが大事なんだと思う。

     現役時代を思い返しても、僕はスコアラーが用意してくれたデータをすべて熟読してからマウンドに立った。その上で、自分がマウンドで感じた“第一感”を信じて勝負していたんだ。データ上はカーブに強い打者と対戦していて、もしカーブで勝負すべきと感じたら、自信を持ってカーブを投げた。それは、スコアラーのデータを無視したんじゃない。スコアラーのデータがあったからこそ、ここはカーブだと“第一感”が教えてくれる。

     すべての準備を終えた上で、自分が何を感じるか――決断しなければならないときには、そういう感性を大切にしたい。そのためには普段の行いが大事。僕は今でも時間割を作って、早寝早起きの生活を心がけている(笑)。

     決断を迫られた選手の中には眠れない日々を過ごしている人もいるかもしれない。でも、できる限り規則正しい生活のリズムを維持してほしい。その上で、事前の準備と自分自身の“第一感”を信じてよい選択をしてほしい。

    写真



    写真

    構成/石田雄太
    プロデュース/市川光治(光スタジオ)
    写真/梅田雄一(studio dp)




    【記事一覧】
    [NEW]【vol.8】ダウト(2015.4.8)
    【vol.7】常識を疑え!(2015.3.26)
    【vol.6】理不尽のカタチ・現代版(2015.2.27)
    【vol.5】子育て(2015.1.21)
    【vol.4】グアム(2015.1.7)
    【vol.3】ワイン(2014.12.16)
    【vol.1】日米野球の思い出(2014.11.20)



    HISスポーツTOP

    お問い合わせ・ご予約

    東京スポーツイベントセクション

    tel

    <営業時間> 月~金曜 11:00~19:30
      土曜 11:00~18:30
      日曜・祝日 11:00~18:00

    〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-33-8 サウスゲート新宿ビル1F
    [ 総合旅行業務取扱管理者 生岡 陽 ]

    横浜スポーツイベントセクション

    tel

    <営業時間> 月~土曜・ 日曜・祝日 11:00~19:00
       
       

    〒220-0004 神奈川県横浜市西区北幸1-6-1 横浜ファーストビル11F
    [ 総合旅行業務取扱管理者 稲葉 敬昭 ]

    ▲上へ戻る

    PAGE TOP